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取憑
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とりつ
ふりがな文庫
“
取憑
(
とりつ
)” の例文
昼間でも狼の噂を聞くと、わたしは身の毛が
悚立
(
よだ
)
つような……。(身をふるわせる。)わたしは狼に
取憑
(
とりつ
)
かれたのかも知れない。
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もうその時は私も
形振
(
なりふり
)
は関わず、ただ燻んでひやりと冷たいあの街道の空気に浸り度い心が
急
(
せ
)
いた。私も街道に
取憑
(
とりつ
)
かれたのであろうか。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『
取憑
(
とりつ
)
く』とか『乗移る』とかいう精神病理的な事実を、科学的に説明し得る状態はこの以外にないのだ
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こんなにいい子なのに悪いことをするのは、知らぬ間にあんなあながお前達に
取憑
(
とりつ
)
いてしまうからよ。さあ、もう泣くのはお止め!……お前のその涙が立派な
証拠
(
しょうこ
)
だわ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
姉が私を
庇
(
かば
)
はうと思つて餘計なことをしてくれなければ、私は知らん顏をしてゐたかも知れません、——風呂の中からニツコリしたあの女の美しい顏に
取憑
(
とりつ
)
かれながら、——
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
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つまり今度は、サガレン・マニヤならぬ飢饉マニヤに
取憑
(
とりつ
)
かれて、そわそわしだしたのだ。
チェーホフ試論:――チェーホフ序説の一部として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
露西亜へ着いてから尚だ一回も註文を受ける間もない中に不起の病に
取憑
(
とりつ
)
かれてしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
貧乏神
(
びんぼうがみ
)
に
執念
(
しゅうね
)
く
取憑
(
とりつ
)
かれたあげくが死神にまで憑かれたと自ら思ったほどに浮世の
苦酸
(
くさん
)
を
嘗
(
な
)
めた男であったから、そういう感じが起ると同時にドッコイと
踏止
(
ふみとど
)
まることを知っているので
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてそんな幻想と思い出に
取憑
(
とりつ
)
かれながら、彼の夢は、その晩江州浅井の山里の、誰が家の小屋とも知れぬ戸もない
廂
(
ひさし
)
の下に、
柴薪
(
しばまき
)
や漬物桶などの間に挟まって、深々と睡り落ちていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ごらんなさい、あそこの額のなかには、
一
(
ひと
)
つ
家
(
や
)
の鬼婆あや、天子様の御病気に
取憑
(
とりつ
)
いた
鵺
(
ぬえ
)
という
怪鳥
(
けちょう
)
まであがっているじゃありませんか、それだのに、切支丹の神様がなぜいけないんでしょう?
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それじゃあ、その娘というのも何かに
取憑
(
とりつ
)
かれてでもいるのかも知れないな。」とT君は言った。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いやな顔をするな。——精いっぱい縁結びに
取憑
(
とりつ
)
かれているような顔をするんだ」
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕にはあんなあなが
取憑
(
とりつ
)
いていたんだ。……(次第に
慟哭
(
どうこく
)
するもののごとく)
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「……三人が飲んだというアノ
支那人
(
チンク
)
の酒場が怪しかったんだナ。……俺はソウ思う。……厄病神がドッカの隅に隠れてやがったんだ。……そうして三人に
取憑
(
とりつ
)
きやがったんだナ。俺はソウ思う……」
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いやな顏をするな。——精一杯縁結びに
取憑
(
とりつ
)
かれて居るやうな顏をするんだ」
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まだ臍の胡麻に
取憑
(
とりつ
)
かれてゐるのか、人聽きの惡い
洒落
(
しやれ
)
だ」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はまだ葛根湯に
取憑
(
とりつ
)
かれてをります。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はまだ葛根湯に
取憑
(
とりつ
)
かれております。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
憑
漢検1級
部首:⼼
16画
“取”で始まる語句
取
取出
取縋
取柄
取除
取次
取敢
取交
取做
取付