博識ものしり)” の例文
と、仕方なしに答えましたが、此の答はもとよりよろしくない様でございますが、何分無いとも有るとも定めはつきません。先達せんだってある博識ものしり先生に聞きますと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自分ばかりが博識ものしりがるものなり、菊塢きくう奥州おうしうよりボツト出て、堺町さかひてう芝居茶屋しばゐぢやや和泉屋いづみやかんらうかた飯焚めしたきとなり、気転きてんくより店の若衆わかいしゆとなり、客先きやくさき番附ばんづけくばりにも
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
仕立屋で博識ものしりで、やはり三百の組の井坂さんが話したことだが、この加頭一家の輝夫が死んだ時——もう家の書生はしていなかった——陋巷ろうこうに死したのだが、例の格式で
ほんとに吾ながら偉い博識ものしりになつたものだと高慢さうな顔つきで、附近あたりをじろ/\見まはしてゐると、だしぬけに隔ての障子が破れて、なかから大きな鼻が一つ飛出した。
「あれ、虫だとよう、従七位様、えらい博識ものしりな神主様がよ。お姫様はきのこだものをや。……虫だとよう、あはは、あはは。」と、火食せぬやつの歯の白さ、べろんと舌の赤い事。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「むろん、みたことはないが名だけは知っている。ギリシアに、昔いたという博識ものしりだろう」
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あとで知ったが、石山氏は村の博識ものしり口利くちききで、今も村会議員をして居るが、政争のはげしい三多摩の地だけに、昔は自由党員で壮士を連れて奔走し、白刃の間をくぐって来た男であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しか博識ものしりの仰しゃる事には、随分拵事こしらえごとも有って、こと/″\あてにはなりませんが、出よう/\と云う気を止めて置きますと、其の気というものが早晩いつか屹度きっと出るというお話
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
後にきく種々さまざまな修身談は、はじめから偉そうに、吃々きつきつと、味のない、型にはまりきったことをいうのばかりだ。それは、語るものが、自ら教えるという賢人づら、または博識ものしり顔をするからだ。
先達せんだっ博識ものしりの方に聞いたら、前を剃りましたのは首実検の為に剃ったので
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
數「いや中々の博識ものしりじゃ、うふゝゝ面白い男だの、此の泉水せんすい潮入しおいりかえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)