出臍でべそ)” の例文
「何に利くかなあ。分析表を見ると、何にでも利くようだ。——君そんなに、へそばかりざぶざぶ洗ったって、出臍でべそなおらないぜ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すべすべとふくれてしかも出臍でべそというやつ南瓜かぼちゃへたほどな異形いぎょうな者を片手でいじくりながら幽霊ゆうれいの手つきで、片手を宙にぶらり。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
香川県のある島で、デベソというのは出臍でべそのことらしく、またその近くでネコグルマというのも興味がある。
「間拔けだからな、自分の臍を覗いて見る恰好かつかうなんてものは、色氣のある圖ぢやないぜ。第一お前の出臍でべそなんか拔いたつて、使ひ物にならないとよ。味噌みそがきゝ過ぎてゐるから」
ほそぼそと出臍でべそ小児こども笛を吹く紫蘇の畑の春のゆふぐれ
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
風呂場を出ると、ひやりと吹く秋風が、袖口からすうと這入って、素肌すはだへそのあたりまで吹き抜けた。出臍でべその圭さんは、はっくしょうと大きな苦沙弥くしゃみを無遠慮にやる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すそみぢかでそでひぢよりすくない、糊気のりけのある、ちやん/\をて、むねのあたりでひもゆはへたが、一ツのものをたやうにばらふとじゝ太鼓たいこつたくらゐに、すべ/\とふくれてしか出臍でべそといふやつ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)