おおよ)” の例文
ついでにおじいさんの人相書にんそうがきをもうすこしくわしく申上もうしあげますなら、年齢としころおおよそ八十くらい頭髪とうはつ真白まっしろ鼻下びかからあごにかけてのおひげ真白まっしろ
一 遠州奥山おくやま白鞍山しらくらやまは、浦川の水源なり。大峰を通りおおよそ四里、山中人跡まれなり。神人住めり。俗に山男と云ふ。雪中に其跡を見て盛大なることを知る。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おおよそ此等の人々は、皆多少今の文壇の創建に先だって、生埋の運命に迫られたものだ。それは丁度雑りものの賤金属せんきんぞくたる鴎外が鋳潰いつぶされたと同じ時であった。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
神女の人数を、ナヽ処女・処女・コヽノの処女などと勘定している。これは、多数をおおよそ示す数詞が変化していったためである。それとともに実数の上に固定をきたした場合もあった。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
瑞策が報恩のために物を贈ろうとしたにしても、よもや帝室から賜った『医心方』三十巻のうちから、一巻をいて贈りはしなかっただろう。おおよそこれらの事は、前人が皆かつてこれを論弁している。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)