修法しゅほう)” の例文
それを聞いても源氏はいろいろと思い合わすことがあって、目だたぬように産婦の宮のために修法しゅほうなどをあちこちの寺でさせていた。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
お絹という女の好奇心をそそって、今宵その秘密の修法しゅほうの席につらなることを許したはずの、この千隆寺の若い住職というのが、なかなかの曲者くせものだ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半月ばかり、身にいたはりがあつて、つとめを引いて引籠ひきこもつて居たのが、此の日修法しゅほうほどき、満願の御二方おふたかた心祝こころいわいの座に列するため、久しぶりで髪容かみかたちを整へたのである。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お身たちも命を惜しまず、せいかぎりこん限り祈りつづけよ。われわれ五人のうち、一人たりとも心のゆるむものあらば、修法しゅほうは決して成就せぬものと思え。胸にきざんで忘るるな
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
世間には「真言秘密の法」などと看板を掲げて、やたらに怪しげな修法しゅほうをやっているものもありますが、真言の祈祷はそんな浅薄な迷信をあおるようなものでは、断じてないのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
この術士常にマケドニア王フィリポスの后オリムピアスを覬覦きゆしたがそのひまを得ず、しかるに王軍行して、后哀しみおもう事切なるに乗じ、御望みなら王が一夜還るよう修法しゅほうしてあげるが
又十一面の、薬師の、何の修法しゅほうの修法と、祈祷きとうの術も数々有った。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
夫人のこの状態がまた苦労で、少納言は北山の僧都そうず祈祷きとうのことを頼んだ。北山では哀れな肉親の夫人のためと、源氏のために修法しゅほうをした。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
丑の日の深更を選んで、子無き女のために、子を授くるの秘法が行われる、滅多な者には許さないが、信心浅からずと見極めのついた者にのみ、その修法しゅほうが許される。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
修法しゅほうをする阿闍梨あじゃりたち、夜居よいの僧などは院の御心痛のはなはだしさを拝見することの心苦しさに一心をこめて皆祈った。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
と呼ばれたが、いて土地の人が神聖と立てる修法しゅほうを妨げるのもよくないと、帰っては来たが、なんとなくあの護摩壇に心が残るようだ。よし、改めて修験者に会ってみよう。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「なぜあなたはこんな顔色をしているのだろう。しつこい物怪もののけだからね。修法しゅほうをもう少しさせておけばよかった」
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
村の人のためにあらたかな修法しゅほうをして、風か雨か、火か水か、とにかく、きたるべき災禍を鎮めてやるに違いないのだけれど、困ったことには、いくら修験者にその力があっても
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
特別な神の祭り、はらい、修法しゅほうなどである。何にもすぐれた源氏のような人はあるいは短命で終わるのではないかといって、一天下の人がこの病気に関心を持つようにさえなった。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
修法しゅほうの邪魔さえ致さねば、近寄っても苦しゅうはあるまいと思う」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
修法しゅほうなどもさせて尚侍の病の全快したことで家族は皆喜んでいた。こんなころである、得がたい機会であると恋人たちはしめし合わせて、無理な方法を講じて毎夜源氏は逢いに行った。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大将は自宅で憂鬱ゆううつな一日を暮らした。夫人はなお今日も苦しんでいたから、大将は修法しゅほうなどを始めさせた。大将自身の心の中でも、ここしばらくは夫人に発作のないようにと祈っていた。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
修法しゅほう祈祷きとうも大臣家でする以外にいろいろとさせていた。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)