仲裁ちゅうさい)” の例文
わしはあなたがたがだんだん不和になってゆくのを見ているのは実に苦しい。いつも仲裁ちゅうさい者の位置に立たねばならぬのはたまらない。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「いいよ。あいつ、おおきいのをられると、くんだから、よせ。」と、仲裁ちゅうさいはいった、おとこがいいました。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両方りょうほう西にしひがしかれてにらみって、いまにもびかかろう、いかかろうと、すきをねらっているところへ、ひょっこりおてら和尚おしょうさんが、はなしいて仲裁ちゅうさいにやってました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
分別臭ふんべつくさい顔をして、そこらを見廻した。仲裁ちゅうさいのようでもある。で、これをしおしてしまえばよかったのだが、頭から喬之助を見くびり、あくまでんでかかっている近江之介である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ははあ、双晶そうしょうのオーソクレースが仲裁ちゅうさいに入った。これは実におもしろい。」
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
近江おうみ竹生島ちくぶしま可愛御堂かわいみどうでつかみあいの喧嘩けんかをやってから、菊村宮内きくむらくない仲裁ちゅうさいをされ、その小太郎山落城こたろうざんらくじょうのまぎわにわかれたまま、おたがいにその生死消息しょうそくをうたがいあっていた蛾次郎がじろうと竹童。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仲裁ちゅうさいすべきであろうか、それとも針目博士に味方すべきであろうかと。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わかいものたちがいいあらそったりしたときは、いつもおじいさんがなかにはいって仲裁ちゅうさいをしました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「やかましく、いうなよ。」と、おこっているおとこをなだめて、仲裁ちゅうさいしました。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)