仏蘭西ふらんす)” の例文
旧字:佛蘭西
同じメリケン粉でも伊太利いたりー仏蘭西ふらんすの南部の方から出るのは気候風土が日本に似ているせいか大層粘着力が多くって饂飩には極く上等です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わざ/\仏蘭西ふらんすにゐる義妹いもうとに注文して、六づかしい名のつく、頗る高価な織物おりものを取寄せて、それを四五人でつて、帯に仕立てゝて見たりなにかする。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
髪苅かみかり、髭剃ひげそり、此れならば大丈夫と鏡を見れば、南無三、頭は仏蘭西ふらんす流とやらひたひのあたりだけ長く後短うしろみじかにつまれて、まんまと都風みやこふうになりすましたれど
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
男はある骨董店こっとうてんで昔ヴニズの影絵芝居で使った精巧な切子きりこ人形を見付け大金を惜まず買取ってやがて仏蘭西ふらんすの旧邸へ帰る。夫婦の仲はだんだん離れて来る。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
想い見る十六世紀の終にあたって仏蘭西ふらんすに内乱の起るや、王室は人民の多数とともに天主教を奉じ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
ビスマークよりはレセップに指を屈します。ビスマークは仏蘭西ふらんすの鼻をくじいて。わが国の索漏生ふろいせん王をして日耳曼ぜるまん一統の帝とし。今では欧州で牛耳を執るというまでにて。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
新様の仏蘭西ふらんす芸術のなつかしさはその品の高い鋭敏な新らしいタツチの面白さにある。
桐の花とカステラ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かあさん、仏蘭西ふらんすの話をして頂戴よ。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
昨年ごろ出した Unhappy Far-off Things のうち仏蘭西ふらんすのある村について—… The stale of war arose from the desolation …と枯れ切った筆で書くまでには随分いろいろ変ったものがあるようである
ダンセニーの脚本及短篇 (新字新仮名) / 片山広子(著)
それから型で寄せる時仏蘭西ふらんすチェリーといって上等の桜の実なんぞを入れますから小さなコップで出しても一人前が六十銭から七十銭位かかりましょう。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第一軍艦や汽船をそれで製造すると大利益です。仏蘭西ふらんすでは小さい軍艦を製造してみたそうです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
米国人は一人が百二十ほどを使い仏蘭西ふらんす巴里ぱりーでは一人で二百五十個を使う勘定です。一つは富の程度が違うからですが一つは外国に家庭の養鶏という事がさかんなためです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第百四十一 マカロニシチュー 伊太利いたり製か仏蘭西ふらんす製の上等なマカロニを四本ばかり一寸位に折って湯煮ゆでます。湯煮る時沸立ったら掻き混ぜて浮かせないと底へ沈んで焦付こげつきます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第六の松露入しょうろいり冷製鴫肉しぎにく(ベカシン トリッフェ)は仏蘭西ふらんす松露を砕きて鴫の腹へ詰め、第七の海老えびおよび混菜入洋菜(サラダアラルース、サラダ ド オマー)は野菜類および海老を用い
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
小山の妻君が研究顔に「この取合せ物はんでございます」お登和嬢「それは仏蘭西ふらんすのそうめんとが入れてあります」大原した打鳴うちならし「アア美味い」とチュウチュウ音をさせスープをすする。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)