二声ふたこえ)” の例文
旧字:二聲
声は、cha — cha というように、二声ふたこえに詰まって聞こえるかと思うと、cha — cha — cha と三声のこともある。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
可愛らしい男のだったと云いますが苦しみの中で産れた赤子ねゝさんだから育つわけはありません、二声ふたこえばかり泣くとそれっ切り息が絶えたので
そのときもうそろそろしらみかかってきた大空おおぞらの上を、ほととぎすが二声ふたこえ三声みこえいてとおって行きました。大臣だいじんいて
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
両三日来非常にす。東の方に雲が立つ日もあった。二声ふたこえ三声雷鳴らいめいを聞くこともあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と立ち上がりながら、しっしっと二声ふたこえにわとりを追いげる。こここことけ出した夫婦は、焦茶色こげちゃいろの畳から、駄菓子箱の中を踏みつけて、往来へ飛び出す。雄の方が逃げるとき駄菓子の上へふんれた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とばかりで、二声ふたこえ聞いたやうに思つただけで、何の気勢けはいもしない。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あちらのもりでふくろうが、二声ふたこえずつくぎってきはじめました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
と、ほとんど一しょに耳をうった二声ふたこえ気合きあい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二声ふたこえ三声みこえ呼んでみたが、グウ/″\といびき途断とぎれませんから、そっと襟の間へ細引を挟み、また此方こちらあやに取って、お賤は新吉に眼くばせをするから、新吉ももう仕方がないと度胸をえて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
画工 うゝむ、(二声ふたこえばかり、夢にうなされたるものの如し。)
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二声ふたこえ掛けた。これはしたり、いつ目付めっかったろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二声ふたこえよんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その苦しい中で伊之助さんのたね赤子ねゝっこを産んだが、そういう中で産れた赤子だから育つわけはねえから、二声ふたこえ三声みこえ泣いて直ぐにおッんでしまった、それを見ると若草は血があがっておッ死んだから
二声ふたこえに、引起された涙の顔。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二声ふたこえ三声みこえ泣入ったのが此の世のなごり。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)