不見みず)” の例文
かの橋柱はのち御領主ごりやうしゆ御蔵ごぞうとなりしとぞ。椎谷しひや同国どうこくなれども幾里をへだてたれば其真物しんぶつ不見みず、今に遺憾ゐかんとす。しばらく伝写でんしやを以てこゝにのせつ。
二十七にはなつても世間不見みずのあの雅之、うも能うもおのれはだましたな! さあ、さあさかたきを討つから立合ひなさい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かつて山から出て来たししが、年の若さの向う不見みず、この女に恋をして、座敷で逢えぬ懐中ふところの寂しさに、夜更けて滝の家の前を可懐なつかしげに通る、とそこに、鍋焼が居た。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
変妙来へんみょうらいな男ねえ。あんな奴に限って向う不見みずに人にってかかるよ
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かの橋柱はのち御領主ごりやうしゆ御蔵ごぞうとなりしとぞ。椎谷しひや同国どうこくなれども幾里をへだてたれば其真物しんぶつ不見みず、今に遺憾ゐかんとす。しばらく伝写でんしやを以てこゝにのせつ。
されば元日の初日影もたゞ雪の銀世界せかいてらすのみ。一ツとして春の景色けしき不見みず古哥こかに「花をのみ待らん人に山里の雪の草の春を見せばや」とは雪浅きみやこの事ぞかし。
されば元日の初日影もたゞ雪の銀世界せかいてらすのみ。一ツとして春の景色けしき不見みず古哥こかに「花をのみ待らん人に山里の雪の草の春を見せばや」とは雪浅きみやこの事ぞかし。
くも脚下あしもとおこるかとみれば、たちまちはれ日光ひのひかりる、身は天外に在が如し。この絶頂はめぐり一里といふ。莽々まう/\たる平蕪へいぶ高低たかひくの所を不見みず、山の名によぶ苗場なへばといふ所こゝかしこにあり。
くも脚下あしもとおこるかとみれば、たちまちはれ日光ひのひかりる、身は天外に在が如し。この絶頂はめぐり一里といふ。莽々まう/\たる平蕪へいぶ高低たかひくの所を不見みず、山の名によぶ苗場なへばといふ所こゝかしこにあり。