一疋いつぴき)” の例文
未練みれんなどがあることかはをとこ一疋いつぴきながら虚弱きよじやくちからおよばずたゞにもあらでやまひに兩親ふたおやにさへ孝養かうやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
丘の所に大きなゐのしし一疋いつぴきの可愛い坊やと一緒にてゐました。おツ母さんは、坊やのせなかたたきながら
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
引返ひきかへして、木戸口きどぐちから露地ろぢのぞくと、羽目はめ羽目はめとのあひだる。こゝには一疋いつぴきんでない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太郎たらうは、エソップのなかの、或時あるときライオンが一疋いつぴきねづみつたら
それとにはか心着こゝろづけば、天窓あたまより爪先まで氷を浴ぶる心地して、歯の根も合はずわなゝきつゝ、不気味にへぬ顔をげて、手燭ぼんぼりの影かすかに血の足痕あしあと仰見あふぎみる時しも、天井より糸を引きて一疋いつぴきの蜘蛛垂下たれさが
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)