一条いちじょう)” の例文
旧字:一條
一条いちじょうの径の細くすぐなるを行き尽さざる此方こなたから、石に眼を添えてはるかなる向うをきわむる行き当りに、あおげば伽藍がらんがある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
老僕聞て大におどろき、すぐる三月三日、桜田さくらだ一条いちじょうかたりければ、一船ここに至りて皆はじめて愕然がくぜんたり。
この時に仙台の書生で、以前この塾に居てれから亜米利加アメリカに留学して居た一条いちじょう某と云うものがあって、ソレが亜米利加からかえって来た。所がこの男が発狂して居ると云う。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
夫人が好奇心を起した様に見えたので、それから紋三は昨夜の一条いちじょうをかいつまんで話した。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
眼前まのあたり真黄色な中に、機織はたおりの姿の美しく宿った時、若い婦人おんなと投げたおさの尖から、ひらりと燃えて、いま一人の足下あしもとひらめいて、輪になってひとねた、しゅ金色こんじきを帯びた一条いちじょうの線があって
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
路はここで二条ふたすじになって、一条いちじょうはこれからすぐに坂になってのぼりも急なり、草も両方から生茂おいしげったのが、路傍みちばたのそのかどの処にある、それこそ四抱よかかえ、そうさな、五抱いつかかえもあろうという一本のひのき
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)