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一月
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いちぐわつ
處で——
父の……
危篤……
生涯一大事の
電報で、
其の
年一月、
節いまだ
大寒に、
故郷へ
駈戻つた
折は、
汽車で
夜をあかして、
敦賀から、
俥だつたが、
武生までで
日が
暮れた。
一月の冬の
真中にくろぐろと
蝌蚪はかたまるあはれ
翌年一月、
親類見舞に、
夫人が
上京する。ついでに、
茅屋に
立寄るといふ
音信をうけた。ところで、いま
更狼狽したのは、その
時の
厚意の
萬分の
一に
報ゆるのに
手段がなかつたためである。