一処いっしょ)” の例文
旧字:一處
また甲乙二つの知識が単独には大した役に立たないのが二つ一処いっしょになったおかげで大変な役に立ったという例はいくらでもある。
目科は威長高いたけだかに巡査に向い「貴官は拙者せっしゃしりませんか、拙者は目科です、是なる若者は拙者と一処いっしょに来たのです」目科の名を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
困って居ると友達が酒飲みに行かんかというから、直に一処いっしょに飛び出した。いつも行く神保町の洋酒屋へ往って、ラッキョをさかな正宗まさむねを飲んだ。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
船の外側のどこかへつかると一処いっしょにガーンとなってしまって、いつ海の中へ落ち込んだかわからなかったの……。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
古志こし努奈河媛ぬなかわひめの御歌にもあるように、男とちがってただ一処いっしょの婚姻にしか、たずさわれぬもののごとく考えられていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
遊廓の話、茶屋の話、同窓生と一処いっしょになってドシ/″\話をして問答して、そうして私は夫れを又ひやかして
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いつの驚きたるあり、オヨチにてはまむし多くして、倒れ木の上に丸くなりて一処いっしょに六七個あるあり。諸方にて多く見たり。其度毎そのたびごとにゾッとして全身粟起ぞっきするを覚えたり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
つい先だって来た時にお宮と一処いっしょに薬師の宮松亭みやまつていに清月の婆さんをつれて女義太夫おんなぎだゆうを聴きにいっておそく帰った時、しるこか何か食べようかといったのを、二人とも何にも欲しくない
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ややもすれば喧嘩口論をしてひしめくによって、その父、なにとぞしてこれらが仲を一味させたいといろいろたくめども、しょうずるようもなかったが、あるとき児ども一処いっしょに集まりいたとき
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私がその方のはたへ行くと乳のところまでしかない。その方と一処いっしょに道でも歩くと、まるで親と子供と一緒に連って歩いて居るようにしか見えない。その方の着物を拵えるにはいつも二枚分いるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
千駄木町の夏目先生の御宅の文章会で度々一処いっしょになった。文章の読み役は多く虚子が勤めた。
高浜さんと私 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
節蔵が脱走した後でもって、脱走艦は追々函館はこだていって、れから古川ふるかわの長崎丸と一処いっしょまた此方こっちへ侵しに来た、とうのは官軍方のあずま艦、すなわち私などが亜米利加アメリカからもって来た東艦が官軍の船になって居る
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)