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ほうたう
「善いサマリア人」や「
放蕩息子の帰宅」はかう云ふ彼の詩の傑作である。
赤尾の
彦が
息子のやうに
氣ちがひに
成つて
歸つたも
見て
居り候へば、もと/\
利發の
貴君樣に
其氣づかひはあるまじきなれど、
放蕩ものにでもお
成りなされては
取返しがつき申さず
と
背後から
視めて
意気昂つて、
腕を
拱いて、
虚空を
睨んだ。
腰には、
暗夜を
切つて、
直ちに
木像の
美女とすべき、
一口の
宝刀を
佩びたる
如く、
其の
威力に
脚を
踏んで、
胸を
反らした。