“ひのき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
89.3%
檜木6.2%
1.7%
側柏1.1%
扁柏1.1%
側栢0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
種々な小禽ことりの声が、ひのきの密林にきぬいていた。二人の頭脳は冷たく澄み、明智あけちしょうを落ちて来てから初めてまことわれにかえっていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
屑屋くづやの久吉さんと、御浪人の檜木ひのきさん、あの二人は、いつかはきつと私の命を狙ふに違ひないと父さんは言つて居ました」
くわを振りあげて、自分の老齢ろうれいと非力を嘆じたわけだが、ともかく掘った。腕はしびれるようにつかれ、地にして休息した。隣家の庭のひのきに火がついて、マッチをすったあとの軸木じくぎのように燃え果てる。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
岡田は丁度鉄門の真向いになっている窓を開けて、机にひじいて、暗い外の方を見ている。たてに鉄の棒を打ち附けた窓で、その外には犬走りに植えた側柏ひのきが二三本ほこりを浴びて立っているのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
町を行きつくして村境むらざかいに出た。昨夜トムと𤢖とが闘ったもみの林を過ぎると、みちは爪先上りにけわしくなって来た。落葉松からまつ山毛欅ぶな扁柏ひのきの大樹が日をさえぎって、山路やまみち漸次しだいに薄暗くなって来た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのほかには飛び飛びに立っている、小さい側栢ひのきがあるばかりである。しばらく照り続けて、広小路は往来の人の足許あしもとから、白い土烟つちけぶりが立つのに、この塀のうちは打水をしたこけが青々としている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)