“たった”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
75.8%
15.2%
3.0%
出発3.0%
唯上3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
余が十歳の夏、父母にともなわれて舟で薩摩境さつまざかいの祖父を見舞に往った時、たった二十五里の海上を、風が悪くて天草の島に彼此十日もふながかりした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とっさんが手打にするというのはそれはほんのおどしで、能くんな事をいう者だが、私共のような者でも一人娘が時々心得違いの事でもあると、たった一人の娘でも叩き出すというが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
払うも払わぬも今一言の言葉のあや……今一言……たった一言……その一言をまだ言わぬ……折柄おりからガラガラと表の格子戸こうしどく音がする……吃驚びっくりして文三はお勢と顔を見合わせる、蹶然むっく起上たちあが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私の朋友ほうゆうなんぞは、教育の有ると言う程有りゃアしませんがネ、それでもマア普通の教育はけているんですよ、それでいて貴君、西洋主義の解るものは、二十五人の内にたった四人よったりしかないの。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ヤ細川! 突如だしぬけ出発たったので驚いたろう、何急に東京を娘に見せたくなってのう。十日ばかりも居る積じゃったがしゃくさわることばかりだったから三日居て出立たっしまった。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
種々いろんなものがあって、錠も下さないであったが、婆さんがしたのか、誰れがしたのか、何時の間にかお前の物は、余処々々よそよそしく、他へ入れ換えて了って、今では唯上たったの一つが、き差し出来るだけで
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)