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そのとほ
然るに
二時と
忍ぶを
得ず、
涙を
流して
窮を
訴へ、
只管籠を
出でむとわぶ、
汝すら
其通りぞ。
又今更考へれば
旅行に
由りて、
無慘々々と
惜ら千
圓を
費ひ
棄てたのは
奈何にも
殘念。
酒店には
麥酒の
拂が三十二
圓も
滯る、
家賃とても
其通り、ダリユシカは
密に
古服やら、
書物などを
賣つてゐる。
遁れん爲吉三郎が
拵へ事にて候如何に菊吉三郎と
密通致候
覺えなきならば
其通り早く申上よと
急立けるにお菊は生れしより
始めて
奉行所へ呼出され大勢の中にて吉三郎が
縛められ
窶たるを見て涙を