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さうぎ
カピ長
婚儀の
爲にと
準備した一
切が
役目を
變へて
葬儀の
用。
祝ひの
樂は
哀しい
鐘の
音、めでたい
盛宴が
法事の
饗應、
樂しい
頌歌は
哀れな
挽歌、
新床に
撒く
花は
葬る
死骸の
用に
立つ。
女房が
死んだ
時は
卯平は
枕元に
居なかつた。
村落には
赤痢が
發生した。
豫防の
注意も
何もない
彼等は
互に
葬儀に
喚び
合うて
少しの
懸念もなしに
飮食をしたので
病氣は
非常な
勢ひで
蔓延したのであつた。