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きんぎよくたう
主人は
肖りたい
名の
下に、
甘垂るい
金玉糖を
幾切か
頬張つた。これは
酒も
呑み、
茶も
呑み、
飯も
菓子も
食へる
樣に
出來た、
重寶で
健康な
男であつた。
と
云つて、
主人はわざと
箸で
金玉糖を
挾んで、
宗助の
前に
出した。
宗助は
苦笑しながら、それを
受けた。
下女が
平たい
大きな
菓子皿に
妙な
菓子を
盛つて
出た。
一丁の
豆腐位な
大きさの
金玉糖の
中に、
金魚が二
疋透いて
見えるのを、
其儘庖丁の
刄を
入れて、
元の
形を
崩さずに、
皿に
移したものであつた。