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きようしゆく
先方では
大に
恐縮して、いろ/\
相談の
末、
或る
名高い
針醫が
亡つて、
其の
藥箱の
不用になつてゐたのを
買ひ
取り、それを
療法の
禮として
贈つて
來たのが、この
藥箱で、
見事な
彫刻がしてあつて
其坂井には
元日の
朝早く
名刺を
投げ
込んだ
丈で、わざと
主人の
顏を
見ずに
門を
出たが、
義理のある
所を
一日のうちに
略片付て
夕方歸つて
見ると、
留守の
間に、
坂井がちやんと
來てゐたので
恐縮した。