-
トップ
>
-
かたさま
明けの別れに夢をのせ行く車の
淋しさよ、帽子まぶかに人目を
厭ふ
方様もあり、
手拭とつて
頬かふり、
彼女が別れに名残の
一撃、いたさ身にしみて思ひ出すほど嬉しく
悔しいにつけゆかしさ忍ばれ、
方様早う帰って下されと
独言口を
洩るれば、
利足も払わず帰れとはよく云えた事と
吠付れ。
私の
時より
氣まぐれを
起すは
人のするのでは
無くて
皆心がらの
淺ましい
譯がござんす、
私は
此樣な
賤しい
身の
上、
貴君は
立派なお
方樣
走れ
飛ばせの
夕べに
引かへて、
明けの
別れに
夢をのせ
行く
車の
淋しさよ、
帽子まぶかに
人目を
厭ふ
方樣もあり、
手拭とつて
頬かぶり、
彼女が
別れに
名殘の一
撃、いたさ
身にしみて
思ひ
出すほど
嬉しく