方様かたさま)” の例文
旧字:方樣
それにつれなきは方様かたさま其後そののち何の便たよりもなく、手紙出そうにも当所あてどころ分らず、まさかに親子おいづるかけて順礼にも出られねばう事は夢にばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
髭に続いてちがいのあるのは服飾みなり白木屋しろきや仕込みの黒物くろいものずくめには仏蘭西フランス皮のくつ配偶めおとはありうち、これを召す方様かたさまの鼻毛は延びて蜻蛉とんぼをもるべしという。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
明けの別れに夢をのせ行く車のさびしさよ、帽子まぶかに人目をいと方様かたさまもあり、手拭てぬぐひとつてほうかふり、彼女あれが別れに名残の一撃ひとうち、いたさ身にしみて思ひ出すほど嬉しく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くやしいにつけゆかしさ忍ばれ、方様かたさま早う帰って下されと独言ひとりごと口をるれば、利足りそくも払わず帰れとはよく云えた事と吠付ほえつかれ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
方様かたさまに口惜しい程憎まれてこそ誓文せいもん移り気ならぬ真実を命打込うちこんで御見せもうしたけれ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)