“おにび”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
鬼火56.0%
燐火28.0%
陰火8.0%
人魂4.0%
4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼ははらのなかで叫びながらあたりの闇を睨んでいるとき、藤助の提灯の火が鬼火おにびのように又あらわれた。彼は片手に小さい手桶をさげている。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
星の数ほど、はらはらと咲き乱れたが、森が暗く山が薄鼠うすねずみになって濡れたから、しきりなく梟の声につけても、その紫のおもかげが、燐火おにびのようですごかった。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
底に青ずみ漂う血の海。上にさまよう陰火おにびの焔は。罪も報いも無いまま死に行く。精神病者の無念の思いじゃ。聞いて聞こえぬ怨みの数々。聞いた心がクドキの文句じゃ。念仏代りの阿呆陀羅経あほだらきょうだよ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まぼろしのやうな蒸暑むしあつにはに、あたか曠野あれのごと瞰下みおろされて、やがてえてもひとみのこつた、かんざしあをひかりは、やはらかなむねはなれて行方ゆくへれぬ、……ひと人魂おにびのやうにえたのであつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さらに弓矢や長いほこを持ち出して追い立てると、怪鳥は青いおにびのような眼をひからせ、大きいつばさをはたはたと鳴らして飛びめぐった末に、門を破って逃げ去った。