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うみばうず
どれ、これを
手づるに、
鼠をゑさに、きつね、たぬき、
大きくいへば、
千倉ヶ
沖の
海坊主、
幽靈船でも
釣ださう。
南無三寶、
魔が
魅した。ぶく/\のし/\と
海坊主。が——あゝ、
之を
元來懸念した。
道其の
衝にあたつたり。
「
眞個だよ、
霰だつて、
半分は、
其の
海坊主が
蹴上げて
來る、
波の
潵が
交つてるんだとさ。」
さあ……
此から
海が
荒れるぞ、と
云ふ
前觸れに、
廂よりか
背の
高い、
大な
海坊主が、
海から
出て
來て、
町の
中を
歩行いて
居てね……
人が
覘くと、
蛇のやうに
腰を
曲げて、
其の
窓から
睨返して