鬱々うつ/\)” の例文
独身で暮すやもおに似ず、ごく内気でございますから、外出そとでも致さず閉籠とじこもり、鬱々うつ/\書見しょけんのみして居りますところへ、或日あるひ志丈が尋ねて参り
暗くされし無念に父の武左衞門心濟ねば鬱々うつ/\と今日も消光くらしてお光に向ひ面白からぬ事のみにて身體からだも惡く覺ゆるに床をばのべて少のあひだ足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんと……おなこと昨年さくねんた。……篤志とくし御方おかたは、一寸ちよつと日記につき御覽ごらんねがふ。あきなかばかけて矢張やつぱ鬱々うつ/\陰々いん/\として霖雨ながあめがあつた。三日みつかとはちがふまい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鬱々うつ/\として籠つて居たのは、折を見付けて、お隣りの三五郎親分の家へ來たといふ、江戸の御用聞に逢ひ、事情を打ちあけて、相談して見たかつたのです。
晝間ひるまから一と間に閉じ籠って病人のようにしていることがしば/\であったし、餘所目よそめにもひどく憔悴しょうすいして、鬱々うつ/\としているように見えたので、そう云う父が子供にはひとしお薄気味悪く
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
君のような書見しょけんばかりして鬱々うつ/\としてはいけませんよ、先刻さっき残酒ざんしゅ此処こゝにあるから一杯あがれよ…んですね、いやです…それではひとりで頂戴いたします
と便所まで附いてくというようなわけで、伊之助は段々鬱々うつ/\致しまして、これが病気の原因もとに相成り、どッと寝付くような事になっても、看病人が有りませんから手当が行届ゆきとゞきません事で