高崎たかさき)” の例文
彼はいつも軽快に「タカポコ高崎たかさきタカポコ高崎」と歌つてゐるのである。前者を悲劇的機関車とすれば後者は喜劇的機関車かも知れない。
機関車を見ながら (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、おそろしいスピードをだして、ちょうど熊谷市と高崎たかさき市のなかほどの空で、賊の軽気球に追いついてしまったのです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
実は昨日きのう用があって高崎たかさきに泊まって、今朝けさ渋川まで来たんだが、伊香保はひと足と聞いたから、ちょっと遊びに来たのさ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
されどしょうの学校はその翌日、時の県令高崎たかさき某より、「詮議せんぎ次第しだい有之これあり停止ていし候事そうろうこと」、との命をこうむりたり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
彼はもと高崎たかさきにいた。そうして其所そこにある兵営に出入しゅつにゅうして、糧秣かいばを納めるのが彼の商買しょうばいであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敷島の三十一文字をもて栄爵をかたじけのうした高崎たかさき正風大人まさかぜうしのよりも何らの官位勲爵のない野の一文人紅葉の短冊の方がはるかに珍重されてヨリ高価を以て市場に売買されておる。
頃日このごろく——當時たうじ唯一ゆいつ交通機關かうつうきくわん江戸えど三度さんどとなへた加賀藩かがはん飛脚ひきやく規定さだめは、高岡たかをか富山とやまとまり親不知おやしらず五智ごち高田たかだ長野ながの碓氷峠うすひたうげえて、松井田まつゐだ高崎たかさき江戸えど板橋いたばしまで下街道しもかいだう
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
磯部桜といえば上州の一つの名所になっていて、春は長野ながの高崎たかさき前橋まえばしから見物に来る人が多いと、土地の人は誇っている。なるほど停車場に着くと直ぐに桜の多いのが誰の眼にもはいる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
れもまた一役ひとやくで、悉皆すっかり出来た処で此品これを持ち、高崎たかさき前橋まえばしの六斎市さいいちの立ちまする処へ往って売るのでございますが、前橋は県庁がたちまして、大分だいぶ繁昌でございまして、只今はなお盛んで有りますが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)