ぽね)” の例文
然しこれは自分の惡いのではない、女どもが自分の熱中する全人的性格に這入つて來ない淺薄な根性こんじよぽねが惡いのだ。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
俊男は其のさかしい頭が氣にはぬ。また見たところ柔和にうわらしいのにも似ず、案外あんぐわい理屈りくつツぽいのと根性こんじやうぽねの太いのがにくい。で、ギロリ、其の横顏をにらめ付けて
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「んだって、こうでもしなかったら、浅川のしょぽね直るかな」と笑った。「それに、彼奴あいつ等からはモットひどいめに合わされてるから、これで当り前だべよ!」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
根性こんじょうぽねの強い正直な人たちだったので、すべての激しい運命を真正面から受け取って、骨身を惜しまず働いていたから、曲がったなりにも今日今日を事欠かずに過ごしているのだ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
地獄で仏のよろこばしさをそのままに、ここで幾月かの間、張りつめていた神経がいっぺんにゆるんで、ひざぽね蝶番ちょうつがいがクタクタになるかと思われると、お綱も遠見とおみに気がついて
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甚「何をいうんだ、無駄っぽねおらしやアがって金は有りゃアしねえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「かわいそうに、落ちて来た材木でこしぽねでもやられたんだろう」
火事とポチ (新字新仮名) / 有島武郎(著)