骨壺こつつぼ)” の例文
別にじいしいがみ厨子ずし甕)と呼ぶ骨壺こつつぼを作る。これには無釉のもの釉掛くすりがけしたもの両方ある。多く線彫せんぼりや彫刻を施し、形の堂々たるものである。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そのかれは、かつての約束やくそくまもって、戦友せんゆう骨壺こつつぼい、前線ぜんせんから、また前線ぜんせんへとえ、かわわたって、進撃しんげきをつづけているのでありました。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
N教授は長い竹箸たけばしでその一片をつまみ上げ「この中にはずいぶんいろいろなえらいものがはいっていたんだなあ」と言いながら、静かにそれを骨壺こつつぼの中に入れた。
B教授の死 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「肺病には死人の水——火葬した人の、骨壺こつつぼの底にたまった水を飲ませるといいんだが——それもまた直にくる事になっている。これは脳みその焼いたのだよ。」
そのときには、目もまばゆい陽光がこの陰鬱いんうつな死の家にふりそそぎ、つたが倒れた柱にまきつき、ジギタリスは、死人をあなどるかのように、名の知れぬ骨壺こつつぼのあたりに垂れて咲きみだれるのだ。
義母はしげしげとそれを眺めながら骨をり分けた。彼もぼんやり側にかがんで拾いとっていたが、骨壺こつつぼはすぐに一杯になってしまった。風呂敷に包んだ骨壺を抱えて、彼は植込の径を歩いて行った。
死のなかの風景 (新字新仮名) / 原民喜(著)
きみが、はなかんがえていたときに、ぼくは、またありのごとくかばねえて、突進とっしんする自分じぶん姿すがた空想くうそうしていたのだな。それで、きみさきんだら、おれは骨壺こつつぼっていってやるぞ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)