馬尻ばけつ)” の例文
早速箒とハタキと、それから馬尻ばけつと雑巾迄借りて急いで帰つてくると、女は依然としてもとの所へ腰をかけて、高い桜の枝を眺めてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこで今度はスッ裸で、馬尻ばけつを持って河まで水を汲みに行く。雨は中々つめたい。つめたいわけである。すぐ横にはまだ雪が残っているのだから……
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
美禰子のそばけてうへへ出た。馬尻ばけつくらい縁側へ置いて戸を明ける。成程さんの具合がわからない。そのうち美禰子もがつてた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「先生今日けふ御疲おつかれですか」と門野かどの馬尻ばけつを鳴らしながら云つた。代助の胸は不安ふあんされて、あきらかな返事もなかつた。夕食ゆふめしのとき、めしあぢは殆んどなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎は箒をかたかついで、馬尻ばけつを右の手にぶらげて、「えゝ、ありました」と当り前の事を答へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれあか無言むごんまゝはたらかしながら、馬尻ばけつなか雜巾ざふきんしぼつて障子しやうじさんした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)