頼母敷たのもしき)” の例文
も久八と附て夫婦の寵愛ちようあいあさからず養育しけるに一日々々と智慧ちゑつくしたが他所よその兒にまさりて利發りはつなるによりすゑ頼母敷たのもしき小兒せうになりといつくしみける中月立年暮て早くも七歳の春を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よしやあたたかならずとも旭日あさひきら/\とさしのぼりて山々の峰の雪に移りたる景色、くらばかりの美しさ、物腥ものぐさき西洋のちり此処ここまではとんで来ず、清浄しょうじょう潔白頼母敷たのもしき岐蘇路きそじ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
返せし處は實に頼母敷たのもしき心底しんていなるが今のはなしの樣子やうすにては其大橋氏へ百兩の金が紛失ふんじつしたと言懸いひがかりし油屋の番頭こそ不屆ふとゞきなるやつなれ浪人しても帶刀たいたうする身が盜賊たうぞく惡名あくみやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忘れず今我等かく困窮こんきう零落れいらくせしをさつし廿五兩の金子を工面くめんして持來りしは天晴頼母敷たのもしきこゝろざしとは云へ共さきに某し一たんめぐみし金子を今さら請取うけとつては我等が一分立ず是に依てかたことわりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)