電鈴でんれい)” の例文
彼の電鈴でんれいを鳴して、火のそばに寄来るとひとしく、唯継はその手を取りて小脇こわきはさみつ。宮はよろこべる気色も無くて、彼の為すに任するのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
満洲の重要な橋梁きょうりょうの東橋脚きょうきゃくから西橋脚の方へ向け、この赤外線を通し、西の方に光電管をとりつけ、光電管から出る電気で電鈴でんれいの鳴る仕掛しかけをおさえておく。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、英夫が叫んだとたんに、機械人間が、ぴたりと足をとめて、けたたましい電鈴でんれいがジリリリンと鳴りだした。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
たちま電鈴でんれいり、發射框はつしやかううごいて、一分間ぷんかんに七十八魚形水雷ぎよけいすいらいは、あめごとく、あられごと發射はつしやせらるゝのである。
ですから、埋葬式の夜、私はまんじりともせずに、あの電鈴でんれいの鳴るのをひたすら待ちびておりました。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
私も実際うれしかったのです。あんなに頑強がんきょうに見えたシカゴ軍があんまりもろく粉砕ふんさいされたからです。う云ってはなんだか野球のようですが全くそうでした。そこで電鈴でんれいがずいぶん永く鳴りました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
三階の廊下で、出あいがしらに機械人間の電鈴でんれいが鳴りだした時には、もうだめだ! と観念したが、祥子をせきたてて、最初から隠れるつもりだった、機械人間のおいてある部屋に急いでとびこんだ。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
にわかにみ切った電鈴でんれいの音が式場一杯いっぱい鳴りわたりました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)