雨降あめふり)” の例文
背負せおひ歩行あるく辨慶がのそ/\と出きたりモシ/\文さん今日は雨降あめふりで御互に骨休ほねやすみ久しぶりなれば一くちのむべし夫に今さんまの生々なま/\としたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
博士は心理学者だけに人間の事はよく注意してゐるが、お天道様てんとさま雨降あめふり雪降ゆきふりかで無ければ余り気には掛けてゐなかつた。
入梅つゆになッてからは毎日まいにち雨降あめふりそれやつ昨日きのふあがツて、庭柘榴ざくろの花に今朝けさめづらしくあさひ紅々あか/\したとおもツたもつか午後ごゝになると、また灰色はいいろくもそら一面いちめんひろがり
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
祖母の声掛りだから、母も不承々々って、雨降あめふりでも私の口のお使に番傘かたげて出懸けようとする。斯うなると、流石さすがの父も最う笑ってばかりは居られなくなって、小言をいう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と懐に隠し持ったる短刀どすを引抜きましたから、新吉は「アレー」と逃げましたが、雨降あめふり揚句あげくで、ビショ/\頭まではねの上りますのに、うしろから新五郎はびっこを引きながら、ピョコ/\追駈おっかけまするが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
独逸の俘虜は物を買ふのに、屹度雨降あめふりの日をつて出掛ける。