トップ
>
陽脚
>
ひあし
ふりがな文庫
“
陽脚
(
ひあし
)” の例文
私たちはいつもヴェランダの椅子にかけて、朝から晩まで、移り変る
陽脚
(
ひあし
)
と、それに応じて色を
更
(
か
)
える海の相とを眺めて暮らした。
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
秀吉は、
呵々
(
かか
)
と笑い捨てて、早や
飛鞭
(
ひべん
)
遠くを指していた。疾駆する馬の背から、折々
陽脚
(
ひあし
)
を仰いだ。刻々の寸時も惜しまれているらしい。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太陽はだいぶ西に傾いて、淡い
陽脚
(
ひあし
)
を斜めに投げだしていた。緑の新芽は思い思いの希望を抱き、
榾火
(
ほだび
)
はとっぷりと白い灰の中に埋もれていた。
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
陽脚
(
ひあし
)
の早い冬のことで、いつかあたりはもう薄ら暗く、街道を通る人も稀であった。
瘤
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
時の移るのも忘れて、お
喋舌
(
しゃべ
)
りをしていた率八が、障子に蔭る
陽脚
(
ひあし
)
に驚いて、蒼惶と馬春堂の家を辞して帰るとすぐに、お蝶も外へ急ぎました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
往
(
ゆく
)
さ来るさの車馬と女の頬の農民的な赤さ——この
丁抹
(
デンマーク
)
的雰囲気のまんなか、正面クリスチャン五世の
騎馬像
(
ヘステン
)
に病人のような弱々しい
陽脚
(
ひあし
)
がそそいで、その寒い影のなかで
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
しかしそのとき、円明寺川の方面に、
喊声
(
かんせい
)
と銃声が揚った。きっかり
申
(
さる
)
の
刻
(
こく
)
(午後四時)頃の
陽脚
(
ひあし
)
であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今もすでに、
陽脚
(
ひあし
)
は西にうすずいて、往来の人影にも、のろく通る牛車にも、虹いろの
暮靄
(
ぼあい
)
が
映
(
さ
)
していた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御所へ帰る時刻ばかり気にして、
陽脚
(
ひあし
)
の短さを、
生命
(
いのち
)
のちぢむように
惧
(
おそ
)
れている自分たちに較べて——
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのおなじ日の落ちゆく
陽脚
(
ひあし
)
をいそいで、まだ
逆川
(
さかさがわ
)
に
夕照
(
ゆうで
)
りのあかあかと
反映
(
はんえい
)
していたころ、
小夜
(
さよ
)
の
中山
(
なかやま
)
、
日坂
(
にっさか
)
の
急
(
きゅう
)
をさか落としに、
松並木
(
まつなみき
)
のつづく
掛川
(
かけがわ
)
から
袋井
(
ふくろい
)
の
宿
(
しゅく
)
へと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつか
陽脚
(
ひあし
)
が傾いてきた。紫のひだを濃くしてゆく山の姿は夕暮の近さを示してきた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かかる
場合
(
ばあい
)
は、千
里
(
り
)
をとぶ
逸足
(
いっそく
)
ももどかしく、一日の
陽脚
(
ひあし
)
もまたたくひまである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、思わずも時を過ごしたので、兵庫も助九郎も、
陽脚
(
ひあし
)
に気がつき
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刻
(
とき
)
、すでに
七刻
(
ななつ
)
ごろの
陽脚
(
ひあし
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陽
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
脚
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
“陽”で始まる語句
陽
陽炎
陽気
陽光
陽氣
陽溜
陽焦
陽火
陽射
陽暦