長兵衛ちょうべえ)” の例文
旧字:長兵衞
「なんて事だい、」とかっぽれはき出して、「それじゃあ、幡随院ばんずいいん長兵衛ちょうべえなんかも自由主義者だったわけですかねえ。」
十五年間 (新字新仮名) / 太宰治(著)
どやしつけられた、背中せなかいたさもけろりとわすれて、伝吉でんきちは、元結もとゆいからけて足元あしもとらばったのさえ気付きづかずに夢中むちゅう長兵衛ちょうべえほうひざをすりせた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
だんながたはご商売がらもうご存じでごぜえましょうが、日本橋の桧物町ひものちょう鍵屋かぎや長兵衛ちょうべえっていうろうそく問屋があるんですが、お聞き及びじゃござんせんか
「それはこの中請地村じゅううけじむら長兵衛ちょうべえという松師まつしに頼まれて、庭木戸の額を書いてやった返礼にもらったのだが、売買いにしたらなかなか吾輩こちとらの手に這入はいる品ではあるまい。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
せがれ同苗どうみょう長兵衛ちょうべえというものがあって、これが先代からの遺伝と申すか、大層美事みごとひげをもっておった人物であったから、世間から「髯の長兵衛」と綽名あだなされていたという。
「なんて事だい、」とかっぽれは噴き出して、「それじゃあ、幡随院ばんずいいん長兵衛ちょうべえなんかも自由主義者だったわけですかねえ。」
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
火事場かじば纏持まといもちのように、いきせきってんでたのは、おな町内ちょうない市村座いちむらざ木戸番きどばん長兵衛ちょうべえであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
伝吉でんきちはぎょっとして、もう一長兵衛ちょうべえかお見直みなおした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)