銀鞍ぎんあん)” の例文
銀鞍ぎんあん少年せうねん玉駕ぎよくが佳姫かき、ともに恍惚くわうこつとしてたけなはなるとき陽炎かげろふとばりしづかなるうちに、木蓮もくれんはなひとひとみな乳房ちゝごとこひふくむ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
花下の銀鞍ぎんあん、月前の船、もってその自然の結果たる快楽を買うを得べく、その怠惰にして放逸なるものは悪衣悪食、他人よりははずかしめられ、自家には不愉快を感じ
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
金鋲きんぴょうかご銀鞍ぎんあんの馬、躑躅つつじさきたちに出入りする者、ほこりはかれらの上にのみある。隆々りゅうりゅうと東海から八方へ覇翼はよくをのばす徳川家とくがわけの一もん、そのいきおいのすばらしさったらない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
方二町ばかりの小沼の岸に立った時に、乗鞍のりくらたけが、森林の上にその真白な背を現わしました。雪をかぶった乗鞍ヶ岳の背は、名そのままの銀鞍ぎんあんです。銀鞍があって白馬はいずこへ行った。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)