酒気しゅき)” の例文
旧字:酒氣
神慮しんりょをおそれぬばちあたり、土足どそく、はだかの皎刀こうとうを引っさげたまま、酒気しゅきにまかせてバラバラッと八神殿しんでん階段かいだんをのぼりかけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして自分の寝ようとする頃に必ず酒気しゅきを帯びて帰って来た。ある時は宿で酒を飲んで、芸者を呼べと怒鳴どなっていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『どうだそののちは?』これがかれの開口第一のあいさつであった。自分が慇懃いんぎんにあいさつする言葉を打ち消して、『いやそうあらたまれては困る。』かれは酒気しゅきを帯びていた。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その顔は酒気しゅきのまだめない赤い色を眼のふちに帯びていた。部屋の中をのぞき込んで、始めて吃驚びっくりした様子で
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
往来おうらいをみていると、宿やどをとれずにかけあっている田舎武士いなかざむらいや、酒気しゅきをおびている町人ちょうにんや、れをよんでいる百姓ひゃくしょうや、えッさえッさと早駕はやかごで、おくればせに遠地えんちからけつけてくる試合しあい参加者さんかしゃ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武術ぶじゅつ酒気しゅきのあるのは禁物きんもつということ、未熟者みじゅくものにとってはことにだいじな試合しあい、もし不覚ふかくがあってはものわらいのたねともあいなるから、まず、おこころざしだけをうけて、おいわいはあとでちょうだいいたす
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)