連想れんそう)” の例文
下手へたであるのを洒落しゃれた書き方で紛らしてある字の品の悪いものだった。の前にいた夜の顔も連想れんそうされるのである。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
僕は手足をばたばたさせながら「かちかち山だよう。ぼうぼう山だよう」と怒鳴ったりした。これはもちろん火がつくところから自然と連想れんそうを生じたのであろう。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
地上から地下へ垂直に、井戸のように通うているのが竪坑で、斜坑は、地上から地下へ、勾配こうばいになって這入はいって行くのだから樹木におおわれた薄暗い坂路さかみち連想れんそうさせる。
狂馬 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
その一方、白丘ダリアは益々ますます健康に輝きくびから胸へかけての曲線といい、腰から下の飛び出したような肉塊にくかいといい、まるで張りきった太い腸詰ちょうづめ連想れんそうさせる程だった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人ふたりは、そういって、をみはっていました。うしぼたるというのは、一しゅおおきなほたるでありました。それは、そらかがやく、おおきな青光あおびかりのするほし連想れんそうさせるのであります。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
××というのは、思い出せなかったが、覇気はきに富んだ開墾家で知られているある宗門の僧侶——そんな見当だった。また○○の木というのは、気根を出す榕樹たこのき連想れんそうを持っていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
押入おしいれの連想れんそうは、一学期のある日の、仁太にたを思いだして笑わせたのであった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ペンギンの連想れんそう
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
月が変わって、今日は宇治へ行ってみようと薫の思う日の夕方の気持ちはまた寂しく、たちばなの香もいろいろな連想れんそうを起こさせてなつかしい時に、杜鵑ほととぎすが二声ほど鳴いて通った。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)