身顫みぶるい)” の例文
彼女はまだあの時の悪夢からめきらないもののように、こまごまとあの瞬間のことを回想しては、プルプルと身顫みぶるいをするのであった。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
「こっちのお乳をおかずにして、こっちのおおきい方をおまんまにして食べるんだって、」とぐッとめ附けて肩をすぼめ、笑顔で身顫みぶるいをして
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
龍介は博士の眼を見て思わずぞっと身顫みぶるいした。それはまるで人殺しをしてきた男のような、物凄い眼だった。
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
うそだと思うなら、まあ一度私の養家へ往ってごらんなさい。へえ、あんな奴がと思うくらいですよ。そうね、何といっていでしょう……」お島は身顫みぶるいが出るような様子をして
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
余所々々しい影が己に身顫みぶるいをさせる。11160
快感の身顫みぶるいやわらかき接触の弥増いやまさる緩き波動。
純一は身顫みぶるいをして門前を立ち去った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それでからもう砂利じゃりでも針でもあれとつちへこすりつけて、十余りも蛭の死骸しがいひっくりかえした上から、五六けん向うへ飛んで身顫みぶるいをして突立つッたった。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
欲求と呼ばれしとどろ身顫みぶるいの赤き海。
身顫みぶるいが出るほど厭であった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いやだ、私は、」と薄気味の悪そうな、しょげた様子で、婦人おんなは人の目に立つばかり身顫みぶるいをして黙った。榎の下せきとして声なし、いずれも顔を見合せたのである。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どうしたなどと、言って見たり、耳を引張ひっぱったり、ひげの数を数えたり、様々に扱うと、畜生とて黙っておらず、ニャアと一声身顫みぶるいをして駈出かけだそうとするのを、逃がしてなろか、と引抱ひっかかえ
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と寂しげに笑ってお幾婆さんは身顫みぶるいをした。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝶吉は身顫みぶるいして
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)