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身勝手
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みがつて
然ればな……いや
口の
減らぬ
老爺、
身勝手を
言ふが、
一理ある。——
処でな、あの
晩四つ
手網の
番をしたが
悪縁ぢや、
御身が
言ふ
通り
色恋の
捌を
頼まれた
事と
思へ。
餘所に見るとは何云心の人なるぞ殊には自分の
身勝手のみ
云散すは鬼か
蛇か思へば/\
情なやと愚痴の出るも道理なり偖裏口より入んと思ふに
灯は
萬燈の如く大勢なる他人の居る中へ
斯窶然き姿にて
這入ん事此家の手前も有ば
如何せんと
少間彳み居たりしに
傍に寢て居し一疋の犬
怪しく思ひてや齒を