むだ)” の例文
「ざまあ見やがれ、おいらが寄席へくのを愚図々々ぐずぐずぬかしやがって、鉄さんだってお所帯持だ、心なくッて欠厘けちりんでもむだな銭を使うものかい、地震除だあ、おたふくめ、」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
立去り我が家へ歸りかみいのりしこともむだとも成しとて夫より只管ひたすら菩提ぼだいとふらはんと思ひはなを供へ香をたいて只々一途に後生を願うてゐる所に其夜丑刻やつどき頃と思ふ折しも表の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕はむだだからぼつ/\下駄を穿いて歩いて往く方が便利だ
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
きはめてお光に向ひ夫は道理もつともなる次第なれども一てうせきの事ならず假令證據しようこ人の有ればとて周章あわてねがふ事がらならず殊に北の御番所にて先年せんねん裁許濟さいきよずみに成し事故今更兎や角申立るとも入費倒にふひたふれにてむだ事に成も知れず云ば證文の出しおくれなり夫より最早もはやをつと道十郎殿の事は前世よりの因縁いんえん斷念あきらめられ紀念かたみの道之助殿の成長を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)