貴公あなた)” の例文
「ハイ、今朝までに済みました。で貴公あなた方は?」これは上辺うわべの挨拶に過ぎぬのである。かような会話はもとより彼の好むところではない、むしろいとう方である。
愛か (新字新仮名) / 李光洙(著)
すまぬ事熟々よく/\御改おあらためなされよと申にいくらさがしても一向御座らぬと云時いふとき宿やどの亭主は若々もし/\貴公あなたすその下から何かひもが見えます夫ではなきやといはれて夫はと云ながら客人は内懷中うちぶところへ手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
裏の方の屋根が少し損じたから其の内に修繕なおさせます、お前さんは能く毎日寒さ橋へおなさる、此の寒いのに名さえ寒さ橋てえんだからぞお寒かろう、ピュー/\風で、貴公あなたはお幾歳いくつです
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
上げわけと申すは云々しか/″\ならん彼のゆめの事より衣類并ににはの石に血のあとがあつた夫が證據しようこ入牢じゆらうせし事迄おちもなくはなし女心の十方にくれ如何致してよからんか今日貴公あなたのお宅へ出向き御相談さうだんねがはんと支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頼むサア/\山崎町へ行油屋へ押込おしこんで遣らんと云故長兵衞と久五郎の兩人ははなは心配しんぱいなし先生せんせい貴公あなた御氣象ごきしやうでは御立腹ごりつぷくなさるゝも御道理ごもつともなれど先々よく咄合はなしあふて大ぎやうにならぬ樣に懸合かけあふが宜しく何れにも明日の事に致すつもりなればかく御鎭おしづまり下されよと漸々になだめけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)