言問こととひ)” の例文
その間を縫ふやうに、言問こととひの近くまで——實は飛んだまうけもののつもりで、花を眺め乍ら行くと、いきなり突き當つて喧嘩を吹つ掛けたものがあります
水上すゐじやうバスへ御乗おのりのおきやくさまはおいそくださいませ。水上すゐじやうバスは言問こととひから柳橋やなぎばし両国橋りやうごくばし浜町河岸はまちやうがしを一しうして時間じかんは一時間じかん料金れうきんにん五十ゑん御在ございます。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
言問こととひから上にあがると、昔の涙の名殘りのやうに、櫻の雫がみのるの傘の上に音を立てゝ振りこぼれた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
言問こととひの渡しを待つ間に、渡船の出た向岸の竹屋のあたりから、待乳まつち山にかかる夕陽の薄れに、淺草寺の五重の塔もながめ、富士もながめ、吉原の灯もおもつた人々は
河風 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
言問こととひ曲角まがりかどで、天道てんだうか、また一組ひとくみこれまた念入ねんいりな、旦那樣だんなさま洋服やうふく高帽子たかばうしで、して若樣わかさまをおあそばし、奧樣おくさま深張ふかばり蝙蝠傘かうもりがさすまして押並おしならあとから、はれやれおひとがついてぶらなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)