見玉みたま)” の例文
千代ちいちやん鳥渡ちよつと見玉みたまみぎから二番目ばんめのを。ハア彼の紅ばいがいゝことねへと余念よねんなくながりしうしろより。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その日は秋山にちか見玉みたま村の不動院ふどうゐん一宿やどり、次の日桃源たうげんたづぬる心地して秋山にたずね入りぬ。
美術家ほど世に行儀しきものなければ、独立ひとりたちてまじわるには、しばしも油断すべからず。寄らず、さわらぬやうにせばやとおもひて、はからず見玉みたまふ如き不思議の癖者くせものになりぬ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
試みに新緑の谷間を遡って見玉みたまえ。最奥の部落を離れて間もなく水際に大きな葉を拡げた大木の梢に、白い花のむらがり咲くのを見るであろう。それは一かかえも二抱もあるとちほうの木だ。
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
さてこゝをさりれい細道ほそみちをたどり、たかきにのぼりひくきくだり、よほどのみちをへてやうやく三倉みくら村にいたれり、こゝには人家じんかげんあり、今朝けさ見玉みたま村より用意よういしたる弁当べんたうをひらかばやとあるいへに入りしに