トップ
>
血塗
>
ちまみ
ふりがな文庫
“
血塗
(
ちまみ
)” の例文
噛まれた
創
(
きず
)
や
摺創
(
すりきず
)
で
血塗
(
ちまみ
)
れになりつつ、
当途
(
あてど
)
もなく犬鎌を振り廻して騒ぎ立つ有様は、犬よりも人の方が狂い出したようであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一人がお綱の襟首を掴んで
血塗
(
ちまみ
)
れの娘の胸から力まかせに引離したが、お綱はくるりと振向いてサッと片腕をふり男の顔を力一杯張りつけた。
禅僧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
やがて、氣を取直したらしい下女のお兼は、
年嵩
(
としかさ
)
らしく眞つ先に入つて行つて、床の上に
血塗
(
ちまみ
)
れの死體を抱き起しました。
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
骨は砕けて、
身体
(
からだ
)
は
血塗
(
ちまみ
)
れになつたが、不思議と
生命
(
いのち
)
だけは取り留めて、それからはずつと
健康
(
たつしや
)
でゐる。バリモントは後にその折の事を思ひ出して
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
隠し
了
(
おお
)
せた犯罪や、人に云い得ずに死んだ秘密の数々が、
血塗
(
ちまみ
)
れの顔や、首無しの胴体や、井戸の中の
髪毛
(
かみのけ
)
、天井裏の短刀、沼の底の白骨なぞいうものになって
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
(いつか見た——今まで、まざまざと残っている、あの父の
血塗
(
ちまみ
)
れの夢は、正夢であった)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「いったいこりゃどこへ置いたもんだろう?」
血塗
(
ちまみ
)
れになって正気を失っているマルメラードフが部屋の中へかつぎ込まれたとき、巡査の一人はあたりを
見廻
(
みまわ
)
しながら、こう尋ねた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
言いながら彦兵衛がまた一、二尺死骸をずらすと、下から出て来たのは
血塗
(
ちまみ
)
れの
大鉞
(
おおまさかり
)
。
磨
(
と
)
ぎ
透
(
す
)
ました刃が武者窓を洩れる陽を浴びて、浪の穂のようにきらりと光った。藤吉は笑い出した。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
你公は
血塗
(
ちまみ
)
れになりながら、あのヤゲン(ニワトリ)のように生きていた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
武士は邪鬼にそれぞれ
鞭
(
むち
)
を加えた。邪鬼は
血塗
(
ちまみ
)
れになって叫んだ。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
帯の間に
血塗
(
ちまみ
)
れの
剃刀
(
かみそり
)
が手拭に巻いて
捻込
(
ねじこ
)
んであります
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
肉が
爛
(
ただ
)
れ
血塗
(
ちまみ
)
れになっていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
病室の
血塗
(
ちまみ
)
れた俺は
ねむの花咲く家:――自らペンを取らなかった詩――
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
こうして伊奈子を
血塗
(
ちまみ
)
れにして、七転八倒させつつ冷笑していようという私の計画は、私の頭の中でいくつもいくつもシャボン玉のように完成しては、片っ端から
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、思うと、一面の草原になって、父は、頭から、肩から、
血塗
(
ちまみ
)
れになっていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
がんりきは
血塗
(
ちまみ
)
れになって、丸太から丸太、
蓆
(
むしろ
)
から蓆を伝って
猿
(
ましら
)
のように走って行きます。それが見えたり隠れたり、眼もあやに走ると、そのあとを同じように
裸体
(
はだか
)
になった荒くれ男が
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
邪鬼は
血塗
(
ちまみ
)
れになって叫んだ。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
大佐はそれから何か考え考え腰を
曲
(
かが
)
めて、携帯電燈の射光を候補生の眼に向けた。私と同様に
血塗
(
ちまみ
)
れになった、
拇指
(
おやゆび
)
と
食指
(
ひとさしゆび
)
で、真白に貧血している候補生の
眼瞼
(
がんけん
)
を引っぱり開けた。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
塗
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“血塗”で始まる語句
血塗相