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蚕食
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さんしょく
ふりがな文庫
“
蚕食
(
さんしょく
)” の例文
あわよくば、その領を
蚕食
(
さんしょく
)
すべく、つねに積極的な他の土豪の
乱波
(
らっぱ
)
(第五列)が、純朴な農民をそそのかして、すぐ
攪乱
(
かくらん
)
を計るものらしい。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侵入者の
蚕食
(
さんしょく
)
と、そうして建てられた森林境いの家や柵は、昔の森林取締法によって非常な妨害とかんがえられ、鳥獣をおびえさせ、森林を
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
武州公は彼一流の秘密な快感を追いながら、而も着々として周囲にあるものを
蚕食
(
さんしょく
)
し、領土をひろげて行ったのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は偉大なのらくら者、
悒鬱
(
ゆううつ
)
な野心家、華美な
薄倖児
(
はっこうじ
)
である。彼を絶えず照した怠惰の青い太陽は、天が彼に
賦与
(
ふよ
)
した才能の半ばを蒸発させ、
蚕食
(
さんしょく
)
した。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ところが彼等諸君子は学校で教育を受くるに従って、だんだん君子らしくなったものと見えて、次第に北側から南側の方面へ向けて
蚕食
(
さんしょく
)
を企だてて来た。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
実際をいうと、私はある永久の変化——私の生命をだんだんに
蚕食
(
さんしょく
)
していくところの発作から来る肉体的変化を予期していたが、全然そんな変化は見えなかった。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
そこは旧い貧民街を
蚕食
(
さんしょく
)
して、モダンな住宅が処々に建ちかかっているという土地柄だった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
土地の
蚕食
(
さんしょく
)
は、日に日に、大いにおこなわれた。それが天智天皇以前の天下の形勢であつた。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
そしては、フランスを
蚕食
(
さんしょく
)
してるそれらの
下賤
(
げせん
)
な奴らによって、フランスを批判している。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
支那革命の援助者が今は、支那側から言わせれば売国計画の中心人物になりはてている。いわゆる支那浪人の徒輩だ。これがまた、支那の言う
蚕食
(
さんしょく
)
、日本の侵略の手先になっている。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「二人でも足りない。各夫婦が二人しか生まないとすると後継を拵えた丈けだから元々だ。蓄えというものがない。見る/\、戦争
疫癘
(
えきれい
)
その他の事故に
蚕食
(
さんしょく
)
されて、人類は滅亡を遂げる」
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
儂
(
のう
)
熟〻
(
つらつら
)
考うるに、今や外交日に開け、
表
(
おもて
)
に
相親睦
(
あいしんぼく
)
するの状態なりといえども、
腹中
(
ふくちゅう
)
各〻
(
おのおの
)
針を
蓄
(
たくわ
)
え、優勝劣敗、弱肉強食、日々に
鷙強
(
しきょう
)
の欲を
逞
(
たくま
)
しうし、
頻
(
しき
)
りに東洋を
蚕食
(
さんしょく
)
するの
兆
(
ちょう
)
あり、しかして
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ピエール・ロチは欧洲人が多年土耳古を敵視し絶えずその領土を
蚕食
(
さんしょく
)
しつつある事を痛嘆して『苦悩する土耳古』と題する一書を
著
(
あらわ
)
し悲痛の辞を連ねている。日本と仏蘭西とは国情を異にしている。
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも梁山泊の勢いは、日に日に
旺
(
さかん
)
となりつつある。疑心暗鬼、つねに
祝家荘
(
しゅくかそう
)
一円が、彼から
蚕食
(
さんしょく
)
されはしまいかと、厳に警戒しあっていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今川家
(
いまがわけ
)
を
蚕食
(
さんしょく
)
し、
織田
(
おだ
)
家とむすんで、やや一国の体面をたもってからでも、艱苦貧乏は徳川家の守り神であり、家中の精神をたゆまず
研
(
みが
)
く
砥石
(
といし
)
だったものである。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ようやく成人した主君をいただいて、信長と隣交をむすぶ一方、今川家の領をすこしずつ
蚕食
(
さんしょく
)
して
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の勢威いよいよ
旺
(
さかん
)
なりとも思えるが、事実は左にあらずで、年ごとに領境を隣国の
袁紹
(
えんしょう
)
に
蚕食
(
さんしょく
)
され、旧来の城池では不安をおぼえてきたための大土木であり、そこへ移ったのは
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲斐の武田氏に
蚕食
(
さんしょく
)
され、上田原の戦をさいごとして、本城は
落去
(
らっきょ
)
、一族は離散、夫人は千曲川に身を投じて果てるなどという、世が静かなら有り得ない惨たる滅亡を告げてしまった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幾度か越兵に
蚕食
(
さんしょく
)
されては、その度毎に武田勢が奪回してくれていたが、年々、越後の上杉勢は、上州から武蔵へと、一城一城、羽翼をのばして来て、近年では北条勢も武田勢も、まったく
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“蚕食”の意味
《名詞》
蚕が桑の葉を食べるように、他国や他人の領分を侵すこと。
(出典:Wiktionary)
蚕
常用漢字
小6
部首:⾍
10画
食
常用漢字
小2
部首:⾷
9画
“蚕”で始まる語句
蚕
蚕豆
蚕児
蚕棚
蚕飼
蚕様
蚕籠
蚕婆
蚕養
蚕室