“蚕室”の読み方と例文
旧字:蠶室
読み方割合
さんしつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それがよわい五十に近い身で、このはずかしめにあおうとは! 彼は、今自分が蚕室さんしつの中にいるということが夢のような気がした。夢だと思いたかった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
其家は彼の家から石山氏の宅に往く中途で、小高いどてを流るゝ品川堀しながわぼりと云う玉川浄水の小さな分派わかれに沿うて居た。村会議員も勤むるうちで、会場は蚕室さんしつの階下であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
薄暗い蚕室さんしつの中で——腐刑ふけい施術後当分の間は風に当たることを避けねばならぬので、中に火をおこして暖かに保った・密閉した暗室を作り、そこに施術後の受刑者を数日の間入れて、身体を養わせる。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)