-
トップ
>
-
處爲
>
-
しよい
空蝉の
世の
中すてヽ
思へば
黒染に
袖の
色かへるまでもなく、
花もなし
紅葉もなし、
丈にあまる
黒髮きり
拂へばとて
夫れは
見る
目の
菩提心、
人前づくりの
後家さまが
處爲ぞかし
抱かれるを
嫌やがり、あやされヽば
泣くと
同じく、
何故か
其人に
氣が
合はず
去りとて
格別に
仇をして
困らせんなどヽ
念の
入りし
憎くさでもなく、まこと
世間見ずの
我まヽから
起りし
處爲なれば