茶代ちゃだい)” の例文
ひとこころこころって、いよいよ調子ちょうしづいたのであろう。茶代ちゃだいいらずのそのうえにどさくさまぎれの有難ありがたさは、たとえ指先ゆびさきへでもさわればさわどくかんがえての悪戯いたずらか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
茶代ちゃだいの多少などは第二段の論にて、最大大切なるは、服の和洋なり。たびせんものは心得置くべきことなり。されどおごるは益なし、洋服にてだにあらば、帆木綿ほもめんにてもよからん。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
めんどうと見たなら茶代ちゃだいに相当する物を置いてさっさと逃げだそうと思った。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
渋茶しぶちゃあじはどうであろうと、おせんが愛想あいそうえくぼおがんで、桜貝さくらがいをちりばめたような白魚しらうおから、おちゃぷくされれば、ぞっと色気いろけにしみて、かえりの茶代ちゃだいばいになろうという。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)