花瓣かべん)” の例文
その蓮華れんげ模樣もよう中央ちゆうおうほう非常ひじようおほきいかたちのものもあり、花瓣かべん恰好かつこうたいそううつくしく、蔓草つるくさかたち非常ひじようによく出來でき、そのりかたもつよ立派りつぱであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
巨大な金色こんじき花瓣かべんは、クッキリと黒天鵞絨ビロードの空を区切って、下界の花園や、泉や、そこにもつれ合う二つの肉塊を、ふりそそぐ金粉の中にとじこめて行くのでした。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ハムの赤い珊瑚礁さんごしょうがちらと顔を出していて、キャベツの黄色い葉は、牡丹ぼたん花瓣かべんのように、鳥の羽の扇子のようにお皿に敷かれて、緑したたる菠薐草ほうれんそうは、牧場か湖水か。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
またかゞみかたちとう時代頃じだいころまではおほまるかゞみでありまして、あの花瓣かべんのように周圍しゆういれてゐる八稜鏡はちりようきようとか八花鏡はつかきようといふかたちかゞみは、まったくとう時代じだいになつてはじめて出來できたものであり
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
西洋人の様に豊かな肉体、桜の花瓣かべんの様に微妙な肌の色、それだけでも十分私を驚かせたのですが、その上彼女には、鏡の前の不思議な癖さえあったのです。………………………………
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
風に散る花瓣かべんの風情で、黒い岩壁を舞いさがり、水煙を立てて水中深く沈むのです。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)