色仕掛いろじかけ)” の例文
はなしべつにある……色仕掛いろじかけで、あはれなむすめかはいだ元二げんじやつあはせに一まいづゝおびへて質入しちいれにして、にぎつた金子きんすとしてある。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鉄火てっかとはいえ、女の手だけでどうしてあの重囲じゅういを切り抜けて、ここにこうして、今つづみの与吉を、なかば色仕掛いろじかけで柔らかい捕虜とりこにしようとしているのであろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
木間星箱根鹿笛このまのほしはこねのしかぶえ」と云ふ脚本中の毒婦は色仕掛いろじかけで欺した若旦那への愛想尽あいそづかしに「亭主があるとけすけに、言つてしまへば身もふたも、ないて頼んだ無心まで、ばれに成るのは知れた事、 ...
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「筑摩軍記」は桔梗の方と河内介とが「密通」したことを暗にふうして、恋愛から陰謀が成立したように匂わせているけれども、武州公は色仕掛いろじかけで婦人の信頼をち得るようながらでもないし
色仕掛いろじかけで主人に取り入り、後には、そこの後添のちぞえとまでなおったが、近ごろうわさにきけば、その老夫もまた世を去って、ふたたび未亡人の身の上だというが……それやこれやで
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)